ちょっと本村さんが心配になってきた。<光母子殺害>弁護側が犯罪心理鑑定で証人尋問
6月28日19時10分配信 毎日新聞
山口県光市で99年にあった母子殺害事件で、殺人や強姦(ごうかん)致死罪などに問われた当時18歳の元少年(26)の集中審理3日目が28日、広島高裁(楢崎康英裁判長)で開かれた。前日に続き、弁護側の依頼で元少年の犯罪心理鑑定をした日本福祉大の加藤幸雄教授の証人尋問があった。
1、2審判決によると、元少年は99年4月14日、光市の会社員、本村洋さん(31)方で妻弥生さん(当時23歳)を強姦目的で襲い、首を絞めて殺害。長女夕夏ちゃん(同11カ月)も絞殺した。
加藤教授は「自我が低下した中で、弥生さんに優しく接してもらい、亡き母のように甘えさせてくれるはずだという強い思いこみが(元少年に)生じた」と分析。一方、動かなくなった弥生さんの体を触ったことについては「母に対する依存感情が性的願望として大きくなっていくことはあり得るので、性的感情が全くなかったという元少年の主張は必ずしも適切ではない」と述べた。この他、1審前の鑑別所の記録で「退行した精神状況だった」などと、今回の鑑定と類似した結果が出ていたことも指摘した。
公判後に記者会見した弁護団は「被告が語った内容で事実関係の一部が明らかにでき、内容は遺体の痕跡とも合致している。今後の裁判で重要な部分が証明されていくだろう」と語った。
この後、7月24~26日と9月18~20日に集中審理がある。【大沢瑞季、安部拓輝、内田久光】
◇憤り隠せない…本村さん会見
――3日間の集中審理の感想を。
聞くに堪えない3日間だった。あまりにも我田引水で身勝手な主張が多い。亡くなった者への尊厳のかけらも見られず、憤りを隠せない。被告は全く反省していないと思った。初めて法廷で被告と目が合い、退廷時に鋭い目でにらみつけられた。今日ほど憤りを感じた日はない。
――被告が目を合わせた意図は何だと思うか。
何を思い私たちを見たのか分からない。私は直感的に、この人間を社会に帰してはいけない、この人間を裁けない司法ならいらないと思った。
――亡くした妻と娘に報告できることは。
むしろ妻と娘に聞きたい。何が本当に起こったのかと。現場を知るのは妻と娘と被告だけ。弁護団の「ストーリー」という言い方が非常に嫌い。物語ではなく、真実を究明するのが裁判だ。
――法廷で意見を述べたい思いは募ったか。
裁判の最後の方で(犯罪被害者・家族の)意見陳述権を行使したい。公判を見ながら思ったことを正直に述べたい。
――被告の話し方や仕草に変化を感じたか。
語彙(ごい)が増えたが、弁護団の弁論と同じ単語が多いと感じた。事件から8年がたち、言葉遣いや主語・述語の使い方などに成長の跡は見られる。
――被告の話に真実味を感じたか。
検察側冒頭陳述が事件の真実と思ってきた。被告もずっと否認しなかったが、ここにきて主張を変え、内容があまりに支離滅裂。被告はうそを言っていると今は思うが、判定するのは裁判所だ。
――この1年で反省した形跡は見られたか。
いいえ。それが非常に残念。極刑を求めるが、今の状態で死刑判決が出ても意味がない。
――3日間で許せなかった被告の言葉は?
検察側の質問に「本法廷で言っていることがすべて」と答えた。今までの7年をほごにしてしまう言葉で許しがたい。
私は直感的に、この人間を社会に帰してはいけない、この人間を裁けない司法ならいらないと思った。
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